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日々の出来事や萌え語り等。偶に鬱状態になるので御注意下さいませ。
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5月5日、子供の日。
その日獏良は普段家に余り帰らない父親からの
注文に対する答えに困っていた。
「了は何が欲しい?」
普段妹の世話をする了にとって
それは最も返答に困るものだった。
『何が欲しい?』という言葉は何処か魅力的で
曖昧なものだと思っていたからだ。
了は今年で10歳になる、所謂2分の1成人だ。
それだけに何を要求して良いのか困っていた。
妹の天音は颯爽とその返答をしてはしゃいでいた。
こう言う時、如何して自分はこんなにも決断力が無いのかと
幼い心に僅かな不満が湧いた。

自室から外の景色を見ると、子供たちが楽しそうに走り回っている。
自分と同じくらいの子供が無邪気に笑って・・・・
そう思うと自分は何処か他とずれているんじゃないかと思えてきて
胸が苦しくなる。
苦しくて、窓のカーテンを閉めようとした時だった。
コン。
何かが自分の部屋の窓に当たった。
窓の外には一人の少年が立っていた。
自分を見上げるその少年を見詰る。
すると少年はその場から走り去った。
「あ」
間の抜けた声を出して、つい追いかけていた。
自分でも信じられないうらいに一生懸命に。
気付いた時には公園に居た。
公園のブランコに向かって歩き出す。
「・・・・居ない」
「此処だ」
「!?」
呟いた傍ら現れた少年に動揺する。
物音もさせないで行き成り現れた少年を眼を丸くして見詰る。
少年はそれが可笑しくて笑いだす。
「君、誰?」
不審に思いながらも少年に疑問を投げかける。
「バクラだ」
笑い疲れた少年がそう言う。
「僕と、同じ名前」
ポツリ呟く。
「遊ぼうぜ」
そう言って了はバクラに手を引かれ、そのままバクラに身を委ねた。

バクラという少年は兎に角乱暴で無茶苦茶な少年だった。
了の腕を引っ張りながら走り回る少年。
途中危険な目に遭っても平然とする少年・・・。
辿り着いた場所は草木が生い茂る森の様な所に
佇む古ぼけた洋館。
バクラは屋敷の扉を蹴り飛ばして中に入る。
「着いたぜ」
そう言って了を屋敷に入れる。
「バクラ君って、乱暴だね」
「ほっとけ」
自然と出た言葉だった。
バクラは笑いながら屋敷の階段を上り出す。
了は離される気配のない左腕を眺めて溜息をする。
必要以上に力強く掴まれた左腕は感覚を無くして
痺れ始めていた。
階段を登り終えて一つの部屋に入れられた。
部屋の中は外から見るより片付いていた。
只、不自然なほどに綺麗だった。
まるでこの部屋だけが時間に置き去りにされたかのような
錯覚に陥る。
「座れよ」
バクラが了をベッドに座らせる。
了は黙り込んだまま座る。
「君は、何時まで僕の腕を握ってるの?」
「嫌か?」
了は不思議と疑問を口にしていた。
バクラは了の大きな瞳を覗き込む。
「ううん、嫌じゃないけど・・・・何でかなって思って」
了の言葉にバクラは軽く笑う。
「手ぇ握るのに理由なんて要るのか?」
バクラは若干困った様な笑みを浮かべて尋ねる。
了はバクラの言葉に如何返せば良いのか悩む。

数分ほどの沈黙、了は何時の間にか眠っていた。
眼を開くと矢張りバクラは自分の腕を掴んでいる。
器用だな、と感心した。
体を起こそうと体勢を変えようとした時だった。
不意に腕を引っ張られ、ベッドに再び倒れ込む。
「わっ」
思わず出た聲に自分でも驚く。
今日の自分が自分じゃない様な感じさえする。
「起きたのか」
ベッドに倒れ込んだ了をバクラが見詰る。
「来いよ」
バクラは勢い良く起き上がり了の腕を
掴んだままベランダへと歩き出す。
気付けば空が闇に包まれ、星を鏤めている。
「・・・綺麗」
自然とそう呟く。
「だろ?」
確認するようにバクラが言う。
ほんの少しの間を置いて了は訊き忘れていた事を聞く。
「君は、如何して僕が名乗りもしてないのに、僕の名前知ってるの?」
一瞬驚いた表情をしてバクラは眼を細める。
それは笑っているのか怒っているのか何とも言えない表情だ。
「お前、本当質問が多いな。こう言う時くらいそんな疑問は仕舞っとけよ」
「だって・・・」
言葉を遮るようにバクラが続ける。
「俺はさ、情報を集めるの、得意なんだぜ?だからお前の事だって知ってる」
「知ってる?」
ああ、と応えた後了の私情を口にする。
ゲームが好きな事、妹の世話に付きっ切りだと言う事、
中性的な外見の為、女の子と間違われる事から
自分の外見にコンプレックスがある事などを得意げに語り出す。
「・・・・バクラ君は、何でも知ってるんだね」
若干引き気味に言う。
バクラは尚も得意げに「だろ?」と応える。
バクラという少年は自分の事なら何でも解るんじゃないかと
不安になる。
「了、生きる事は楽しいか?」
不意に訊かれ、半ば動揺する。
「うん、楽しい。楽しくない時もあるけど・・・」
だろうな、とバクラが言う。
「けどさ、楽しくない事もあるからこそ楽しい時
がより楽しく感じられるんじゃないか?」
「・・・?うん」
その言葉は何処か寂しげに聞こえる。
「だからさ、こんな些細な切欠でも自分の思った事を
素直に打ち明けてみろよ」
バクラの言葉に思考が停止する。
僕が普段言えない事・・・思っても口に出来ない事・・・・
考えて体が震えだす。
瞼が熱くて、胸が苦しくてその場にへたり込みそうになる。
今迄心の奥底に仕舞っていた本心が、込み上げてくる。
ずっと溜め込んでいた自分の本心。
「僕・・・はっ・・・僕は・・・・」
言いたくても言葉にならなくて、涙が溢れ出す。
「言ってみろよ」
「僕は、もっと、御父さんや御母さんに見て・・・貰いたい
・・・甘えたいんだ・・・・っ!」
途切れ途切れに吐きだした言葉。
バクラは了の体を撫でる。
「そう、もっと素直になっても良い。お前は充分過ぎるくらい耐えたんだ」
了が落ち着いてきたとき、バクラは「帰るか」と再び了の腕を引っ張る。

家まで送り届けられ、お礼を言って別れた。
両親は勿論心配していた。妹は泣き疲れて眠ってしまったそうだ。
「了、こんな時間まで何処にいた!?」
「御免なさい」
短く謝罪する。
「まぁ良い。了が無事ならそれで・・・」
「御父さん、御母さん」
了の言葉に了の方を振り返る。
「何だ?何処か痛いのか?」
「ううん。あのね、僕御父さんと御母さんに御願があるの」
ずっと溜め込んでいた、仕舞っていた気持ち。
それを口にすると、両親は笑顔で了を抱きしめた。
それを見ていたかの如く獏良家の前に立つバクラという少年は
口元を釣りあげ、だが穏やかに笑う。
「良かったな、了」

 

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