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日々の出来事や萌え語り等。偶に鬱状態になるので御注意下さいませ。
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生温かい風が頬を撫でる。
突き刺すような寒さが少しずつ無くなって行く代わりに
柔らかく、優しい風と日の光を感じられるようになってきた。
ふんわりと銀髪を靡かせて了は緩やかに歩を進める。
今日から了は高校生だ。
受験のプレッシャーに負けず、兄の通う高校に無事合格し
入学を今日に控えていた。
新しい制服に新しい学校、全てが真新しくて
了の心は期待で一杯だ。反面、不安も有った。
其れは学校に近付けばどんどん増していくもので
浮かれようにも浮かれ切れない妙な感じが、どうにも気持ち悪かった。

高校の校舎は思ったよりも大きく、綺麗だった。
新入生のクラス表をチェックしてから教室に向かい
入学式を終えて教室で簡単な自己紹介を行う。
了の席は最後尾で左隣の席は空席だ。
ふと、中学時代の事を思い出す。
了は中学生になるのに合わせてこの街に兄達と引っ越して来た。
地理感覚も無かった頃、転校先の中学が何処に有るのか解らず
途方に暮れていたあの日、ある少年が声をかけてきた。
目的地を丁寧に案内してくれてその少年には自然と好感を持った。
其の夜はまた会ってちゃんと御礼をしたいと思った程だ。
翌日転校先の中学校に行ってみると驚いた事に
先日道案内をしてくれた少年が同じ学校の、同じクラスの、隣の席に居たのだ。
また会いたいと思ってはいたがこんなに早く会うと感動よりも驚きの方が大きかった。
少年も驚いたようで、了を見るなり大きく眼を見開いてあんぐりと口を開いていた。
改めて御礼を含めた自己紹介をして、其れ以来は席の位置もあってか
頻繁に話すようになっていた。
中学の時は左隣に視線を向ければいつでも少年と目が合って
話して、笑い合ったものだ。
だが、少年も了も進学校が違っていた。
少年は少し離れた高校に進学し、
自分も兄の勧めで其の高校から少し離れた高校に進学した。
今、左隣に視線を向けても、其処には誰も居ない。
了は懐かしさと本の少しの寂しさに溜息を吐く。

高校の説明も終わり、帰り仕度を手早く済ませて校舎を出る。
校門に向けてゆったりと歩いていると背後から足音が近付いていた事に気付く。
ぴたりと足を止めて振り返ると、其処には2つ年上の兄、バクラが居た。
「お兄ちゃん、今帰り?」
「ああ。お前も今から帰るんだろ?一緒に帰ろうぜ!」
バクラが当たり前のように了の腕を掴んで引っ張る。
何時もの事の様に了も驚く事をせずに対応する。
「御免、お兄ちゃん。今日は一緒には帰れないの。」
「何でだよ?入学早々に寄り道でもすんのか?」
ズバリと当てられて内心焦るが顔には出さないようにする。
「そうだね。帰りに夕飯の材料買っておきたいから
近くのスーパーに寄ってから帰るよ。」
「なら俺様も一緒に行く。」
「駄目!お兄ちゃんが一緒だとお肉ばっかりになって
バランス崩れるから僕1人で行くよ!だから先に帰ってて!!」
バクラの肩眉が不機嫌そうに吊り上る。
了は面倒にならない様にバクラに言う。
「今日はお兄ちゃんがお風呂当番でしょ?
大きいお兄ちゃん、今日は大学の講義で帰り遅くなるみたいだから
ゆっくり休んででもらう為にも、お兄ちゃんが早く帰ってお風呂沸かしておいてあげて!」
「・・・兄貴の事なんざ知らねぇ。」
目に見えてバクラが不機嫌になっているのが良く解る。
了は困った様に少し考えて言葉を紡ぐ。
「じゃあ、僕も買い物が済んだら出来るだけ早く帰るから、ね?」
了の言葉にやや不満そうではあったが「わぁったよ」と答えて
すたすたと歩き出す。
了も微妙に距離を作りながら校門に向かう。

高校を出て、暫く歩くと何時も行く喫茶店が見えてきた。
了は喫茶店に入ると待ち人を探すべく視線を巡らす。
一番奥のテーブルに待ち合わせていた人物が居る事を確認して歩み寄る。
「城之内君!」
「お!獏良!!」
声をかけると少年、城之内克也が元気に名を呼び返す。
新しい制服を着た城之内を見て微笑む。
「制服、似合ってるね!高校は如何?」
「そうか?高校はまぁ普通って感じ?お前の方は如何よ?」
「ふうん、そうなんだ。僕の所も思ってたより普通だったよ。」
喫茶店のメニューを見ながら他愛ない事を話す。
中学時代に出逢った少年、とは城之内の事だ。
注文するものを決めて店員を呼ぶ。
夕飯が有るので軽食程度のものを頼んで
注文の品を頂きながら再び他愛ない話をする。
最後に城之内と話したのは中学の卒業式なので
さほど時間は経っていないのだが毎日話していただけに
たった数週間会わないと言う環境は御互い苦いものを感じた。
会えない間はメールで会話をしていたものの
矢張りちゃんと会って目を見て、声を訊いて話したいと思った。
高校の入学式が終わってから時間が有れば会おうと言われた時は嬉しかったし、
今こうして会えた事は本当に嬉しい。

喫茶店を出てからは近くのスーパーで一緒に買い物をした。
目的が一致している分、気を遣わずに済んで楽だった。
スーパーを出てから自宅に向かう時も楽しく会話をしていた。
不意に城之内が了の手を握る。
「・・・良い、んだよな?」
城之内の言葉に一瞬何の事だか理解できないと言った表情を
浮かべかけて「ああ!」と短く城之内の言いたい事に気付く。
「うん、良いよ!」
とびきりの笑顔で返事をする。
城之内の頬が少し赤くなっている。恐らく自分も赤くなっているだろう。
そんな事を思いながら歩調を合わせて歩き出す。
周囲には打ち明けていないが、了と城之内は中2の冬から付き合っているのだ。
其れを知っているのは同じクラスの数人のみで
お互いの家族すら紹介し合っていないのだ。
其の為会う時は自宅以外の、家族と遭遇し辛い場所で会っている。
家庭の事情をお互いに抱え込んでいる事もあって
其の事に不満を持つ事はなかった。
中学時代の時の様に毎日顔を合わせる事はないが
偶にでもこうやって時間を見つけて会えるんだと思うと苦では無かった。
こうやって城之内と手を繋いで歩くのは何日ぶりだろうと記憶を辿っていると
城之内が切羽詰まった声で言う。
「あのよ、獏良・・・」
「ん?何?」
「キス、して良いか?」
「あ・・・えっと・・・うん、良いよ。」
繋いだ手により一層力が籠る。
付き合い始めてからもう1年が過ぎようとしているのにも関わらず
キスはした事が無かった。
手を繋いだり抱き合ったりならまだあったがキスをしよう、とは
どちらからも切り出さずにいた。
だから不意に投げかけられた城之内の言葉に驚いた。
了の承諾に小さく歓喜の声を上げた城之内が了の体を抱きよせる。
流れに身を委ね、良く有るドラマと同じ様に目を瞑る。
数秒程の間を置いて互いの唇が触れあった。
短いキスの後、唇を離してお互い目のやり場に困ったような表情を浮かべる。
「あーっと・・・突然悪かったな!」
「う、ううん!全然大丈夫だから!気にしないで・・・。」
気恥ずかしさで体中が熱い。でも、何処か心地良い。
了は城之内に視線を向け一呼吸置いてから言う。
「今日は有難うね!久し振りに会えて、凄く嬉しかった!!」
了の言葉にまた城之内の頬が赤くなる。
「お、俺も!獏良に・・・了に会えて嬉しかった!」
初めて名前で呼ばれて今度は了が頬を赤くした。
顔を赤くし合っているのが可笑しくて2人で笑う。
今は周囲に隠れるように付き合っているが
何時かきっとちゃんとした紹介を家族にして認めて貰おう。
そう、密かに思いながら別れを惜しむようにゆっくりと自宅に向かった。


闇人格×表人格女体化アンソロジー【右隣の女の子】 ばくらプチ告知サイト

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