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日々の出来事や萌え語り等。偶に鬱状態になるので御注意下さいませ。
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何で気付けなかったんだろう?
バクラ君はこんなにも近くに居て、僕の事見守ってくれていたのに・・・。


「絶対にまた会おう!何年・・・ううん!何千年待つ事になっても絶対に!!」
「了・・・ああ、約束だ。何度繰り返そうとも、絶対にお前を見付けだす!!」
其れが彼が消えてしまう前に交わした、最期の言葉。


あれからもう何年経つだろう?
色濃く刻まれた日々は色あせる事も無く鮮明に僕の中に在り続けた。
今こうして過ごす日々に色がないと感じる程に
彼との時間が色濃く、愛おしいモノだった。
大人になっても、僕は恋人も作らず友達も作らず
今はもういない彼に思いを馳せて過ごした。
そう、死ぬ迄ずっと・・・。

 

・・・―数十年後。


「もう!今日は晴れだって言ってたのに!!
天気予報って本当信用ならない!」
唐突に降り出した雨に文句を言う。
体中びしょ濡れになってしまって気持ち悪い。
雨宿りして様子を見ようと考えた僕は
駆け足で近くカードショップに立ち寄る。
店内では子供達が2種類のカードパックを持って
どちらを買うか悩んでいる。
昔から流行っているカードゲームで了も興味が有った。
何時か手に取ってみようと思っていたが今はこの有様だ。
濡れた状態で店に入れば店員や他のお客さんに迷惑だろう。
残念だが今日は諦めようと思った時
不意に背後に気配を感じて振り向く。
其処には長身の男が立っていた。
男は了と同じ銀髪に紫の瞳と了とは正反対の褐色肌だ。
無言で自分に注がれる視線に耐えかねて言葉を絞り出す。
「あ、あの・・・何か用でしょうか?」
男は顔を近づけて低く聞く。
「お前、俺と何処かで会った事有るか?」
軟派かと思ったが男の真剣な眼差しがそうでないと
訴えているような気がして了も真剣に答える。
「いえ・・・会った事は無い気がします・・・。」
「・・・そうか。」
男は近付けていた顔を離すと了の隣に立って続ける。
「不思議だ・・・覚えは全くねぇのにお前とは初対面じゃねぇ気がする。
何処か遠くで、別の時間軸で出逢ってた気がするんだ。」
可笑しな事を言う人だと思ったが
了は其れは口にせず、別の言葉を紡ぐ。
「僕も、貴方とは初対面の筈なのに何だか懐かしさを感じちゃいます。
何で、なんでしょう?」
御互いに理解不能な感覚に陥っているのは良く解った。
だがそんな事は如何でも良い。
此の男と居ると何故だか安心するのだ。
「お前、何て名だ?」
「僕?僕は獏良了。君は?」
「俺様はバクラ」
「僕と同じ名前だね。若しかして遠い親戚?
其れだったら会った事有るかも知れないけど。」
「お前の親戚はエジプトにも居るのか?
俺は今日、日本に留学してきたばっかだが?」
「そうなんだ!だったら親戚じゃないかもねー」
「ところで、何で了は女なのに『僕』なぁんて言うんだ?」
「何でだろ?言いやすいからかな?」
「変な奴。」
「酷いなー。僕は割と普通だよ!」
初対面の筈の人間にこんなに親しげに話せたのは初めてかも知れない。
そんな事を思っていた時。
「おい」
頭上からバクラの声がして視線を上げると
先刻迄土砂降りだった雨が綺麗に止んでいた。
空には七色の虹が美しい曲線を描いている。
「虹、綺麗だねー・・・」
「この国では虹は七色なんだな。エジプトで見るものと違う。」
「そうなの?」
「ああ。何事も角度を変えると違ったもに見えるから不思議だよな。」
「ふふ、そうだね。」
バクラの言葉に笑みが零れる。
「なぁ了。」
笑っている了の肩を掴むとバクラは少し困ったような表情で尋ねる。
「明日また、此処で会えるか?」
一瞬思考が停止したが其れも直ぐに消えた。
了は飛び切りの笑顔で答える。
「うん!大丈夫だよ!」
「そうか。なら明日此処でまた会おう。」
「解った!じゃあ、また明日ね!!」
「ああ、また明日。」
そう言って互いに背を向けて歩き出す。
明日会ったら何をするのか、
そもそも何の為に会うのかという疑問が浮かんだのは
バクラと別れた後だった。
だが、そんな事よりも・・・
「早く明日にならないかなぁ~」
了の心はそんな思いで一杯だった。

 

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ファラオへの復讐を誓って地下神殿に逃げ込んでいた
死霊達を連れて王宮へと向かった。
俺からすべてを奪った憎きファラオの首を持って帰れば
きっと一族の皆も、リョウも喜んでくれると思ったから-・・・。






「あーあ。上手くいったと思ったのになぁ・・・」
暗く昏い闇の中で自虐的に笑う。
一族も愛する人も、己自身も守れないなんて・・・
こんなに自分が無力だったなんて思わなかった。
何の慈悲なのか歪な神様に見入られたようで、
俺はあの世でリョウと再開する事すら出来ないでいる。
「なぁ、大邪神様よぉ千年アイテムは所持者の願いを叶えられるんだろう?
だったら俺様の願いだって聞き届けて貰いたいんだがなぁ」
其の闇には自分しか居ない。他に有るものは無機質な闇だけだ。
其の何も無い闇の中で低い声が囁く。
「随分と今更だな。ファラオを巻き添えに死ぬ事が出来て
まだ他に望む事が有るとでも言うのか?」
「俺はそんな事願ってねぇ。
ファラオを巻き添えにしても結局それじゃ勝った事にならねぇ。
言ったよな?ファラオは俺と同じように肉体は死んでいるが魂は生きている、と。
だったら奴との勝負にはまだ希望が有る。
俺は俺の手で如何にかなる事を願う程馬鹿じゃねぇ。」
「ならば何を望む?」
無感情に問われてバクラは重力を完全に無視したその空間で
態勢を整えて答える。
「リョウと会わせろ。どんな形ででも良い。今度こそちゃんと伝えるんだ。
俺の・・・俺様の本当の気持ちを・・・」
「・・・まだあの小娘の事を忘れていなかったのか。」
「たりめーだろ。・・・で、如何なんだよ?出来るのか?」
「そんな事、我の手にかかれば簡単な事だ。
その願いで良いと言うならば此の千年リングに願って見ると良い。
さすれば必ず貴様の願いを叶えてくれるだろう」
大邪神の言葉に従い、バクラは千年リングに願った。
何が有ってもリョウに伝えなければ・・・其れだけがバクラの願だった。





バクラが千年リングに願ったあの日から月日は流れ、
3000年が過ぎようとしていた。
闇と同化しかけていたからか意識はぼんやりとしていた。
もう時間感覚すらも薄れつつある。
肉体を失った事で自分が人間であった事実すら忘れてしまいそうになる。
千年リングの宿主候補だった人間はは悉く(ことごとく)
千年リングに拒絶され炎に焼かれて死んでいった。
ファラオへの復讐も、もう叶わないんじゃないのかと思い始めた時
闇の中に一筋の光が差した。
其れは濁りのない真っ白な、純粋な光。
今迄暗く閉ざされたこの空間に初めて光が差した。
バクラは何が起こったのかと初めての事態に驚く。
「おい、大邪神様、何だこりゃあ!?今何が起こってる!?」
「随分と元気だな、バクラ。新しい宿主が現れたのだ。」
其の言葉に反応してか闇がざわめきだす。
今迄姿形を認識出来なかった大邪神ゾーク・ネクロファデスが
空間の中の闇をかき集めて体を形成しようとしている。
そして目の前に現れた大邪神ゾーク・ネクロファデスの姿を見てバクラは目を疑った。
目の前に居るのは嘗て自分が恋い焦がれた少女、リョウだ。
だがリョウと違い瞳は赤黒く、眉間に皴が寄り、髪の一部は逆立っている。
「此の姿に驚いているな?外を見てみるが良い。」
小さく形の良い唇が小鳥のような可愛らしい声で言う。
白く細い指が指し示した方向を眼で追うと外の世界を見る事が出来た。
其処でバクラが目にしたのは再会を待ち望んだリョウの姿だった。
白い肌、銀色の髪、透き通るような青い瞳・・・アレは間違いなくリョウだ。
「了、どうだい其のペンダントは?」
「うん、凄く良いよ!僕、此のペンダント大事にするよ!」
元気良く答えるリョウ。今は了、と言うらしい。
あの口調も昔の儘で、本当に変わらないものだと思った。
バクラは更に視線をうろつかせて了の私物と思しきものに書かれた文字を読む。
「獏良、了・・・。」
其れは自分と了の名前・・・。
名前も心もリョウと1つになれた気がして
バクラは千年リングから外の世界に出て了に向きなおる。
「リョウ!了!俺はお前が好きなんだ!愛してるんだ!!」
「・・・・?」
だが了は反応しない。
自分が意識体である事をすっかり忘れていて
バクラは言い様のない絶望感を抱く。
何で忘れてたんだろう・・・。
俺は死んだんだ・・・届くわけがねぇんだ・・・。
そう思いかけた時。
「誰?誰か此処に居るの?」
了が視線を四方八方へと巡らせている。
バクラは落ちかけた視線を再び上げて触れられない腕で了を抱き締める。
「・・・俺は此処に居る・・・了・・・。」
了に自分を視認出来ている訳ではないが其れでもバクラは
溢れる涙と感情を抑え込む事が出来なかった。
嬉しかった。
完全に届いていない訳じゃなかった。
こんな形ででも了と出会えた、反応してくれた・・・。
触れる事のない腕を、届く事のない声を、全て了に差し出す。
「会いたかった・・・俺の永遠の宿主・・・・。
もう、此の手を絶対に離さねぇ・・・。」
今度こそ、了を守ろう・・・其の為なら何だって出来る。






 
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体が、熱くて、冷たくて、痛い・・・。
何が起こったのか、僕には理解が出来ないでいた。
歪む世界の中で赤く燃える炎と、血塗れの人が僕を見下ろしている。
「おい、此の娘じゃないのか?バクラがゾッコンだって言うのは。」
「確かに美人だが、肌も髪の色も、瞳の色もこの国もの・・・
いや、此の世のものじゃないみたいで気持ち悪いな。」
「酷い奴だなー。こんなにしといて其れ言うのか?
バクラなら兎も角此の娘は一般人だ。本来なら保護すべきだろうに。」
「良いんだよ。盗賊と一緒に居るような奴だ。
どうせ碌でもねぇ奴だったんだろうよ。」
僕の事、話してる・・・?
この人たちは、僕の事知ってる?
「・・・そんな事、間違ってもファラオの前では口走るなよ?」
「解ってるよ。其れ位さ。」
そう言って其の人は僕の胸倉を掴みあげた。
先刻から血が止まらない・・・もう僕は死ぬんだろうか?
僕の胸倉を掴み上げた其の人は僕を一瞥して、
其れから背筋が凍るような笑みとともに-・・・。
-・・・あ。
其の時僕は思い出した。自分の中から欠落していた記憶を・・・。

次の瞬間、僕は馴染みの有る腕に抱かれていた。





必死に走った。リョウの悲鳴が聞こえた方へ。
元来た道を戻ると王宮兵士がリョウの胸倉を掴み上げて
下衆な笑みを浮かべていた。
気付けば俺は其の王宮兵士を蹴り上げ、リョウを抱いていた。
リョウは虚ろな目で俺を見上げている。
俺は静かにリョウを寝かせ、蹴りを喰らった王宮兵士に止めを刺した。
もう一人の方は目を見開いて、ガタガタと震えている。
殺す前に其奴に聞きたい事が幾つか有ったが
其れももう、今は動でも良い事だった。
俺は震える王宮兵士の首を掴み何度も燃える家や荒れた地面に叩き付けた。
何度も何度も・・・。
叩き付けて、引き摺って、投げ飛ばして、踏み潰して
王宮兵士が悲鳴どころか息すらして無い事に気付いたのは随分後だった。
奴等のの血で体も服も汚れてしまったが、
そんな事は何時もの事。気にする必要なんてない。
静かにリョウの元に近付き、再度抱きあげると弱り切った目で俺を見据えた。
「ば、く・・ら君、き・・・てくれ、た・・・んだね」
弱弱しく声を絞り出すリョウを見ていると
怪我なんてしてもいないのに激痛が走る様な感覚に陥った。
其れでも表情を変えまいと平静を装う。
「ああ、当たり前だろ?お前の声が聞こえたからな」
少しだけ腕に力が籠る。
「あの、ね・・・バクラ、君・・・僕、思い出した・・・よ。」
バクラの片眉がぴくりと動く。
「記憶が、戻ったのか?」
「うん・・・全部思い・・・出した、よ。僕は、売られて・・・いたんだ。
ずっと、色んな国から・・・国へ・・・と・・・・ずっと、独り、で・・・」
其処迄聞いてバクラはリョウの顔を自分の胸に押し当てる様に抱いた。
今迄他人に触れられる事に恐怖感じていたのは
色んな国から国へと売られ、何度も傷付けられたからだと悟った。
リョウは続きを話そうと力を振り絞る。
「だ、から・・・僕は・・・逃げ出し・・・た・・・
僕を売ってた人から・・・・現実・・・から・・・
逃げて、誤魔化して・・・忘れていたんだ」
バクラはもう耐えられなかった。
見知らぬ国で見知らぬ人間に売られて弄ばれて傷付いて・・・
其れで正気を保てる筈もないのだ。
折角此処迄逃げ伸びて自由になったのに、
あの王宮兵士達の所為で以前よりも酷い目に遭ってしまった。
一族を殺され命がけの日々を独りで乗り切っていた自分だからこそ
リョウの気持ちも理解が出来た。
「リョウ・・・済まねぇ・・・俺の、俺様の所為でこんな・・・」
バクラの声が震えていたのに気付いてかリョウは穏やかに笑った。
「う、ううん・・・違う、よ。バクラ君・・・は悪くな・・・い。
だって、僕に・・・生きる事への楽し・・・さ・・を
教え・・・てくれた・・・・の、はバクラ君、だから・・・。
バクラ君・・・と出逢わ・・・なければ・・・僕、は・・・
きっと・・・今みた・・・いに笑え・・な・・・い・・・から。」
そう言ってリョウの手がバクラの頬に添えられる。
「リョウ・・・」
「今迄・・・有難う・・・凄く・・・楽し・・・かった・・・。
約束・・・破って・・・ご・・め・・・・んね」
リョウの声はどんどん小さくなり、言葉も途切れ途切れになっていく。
リョウの其の言葉と血に塗れた笑みを見てバクラは自分の中に渦巻く
得体の知れないものの正体を知ってしまった。
「リョウ!俺様は・・・お前が・・・好きだ!」
だが、其の言葉を言い終える時にはリョウの体は体温を失っていた。
気付くのが、遅すぎたのだ・・・。
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宿で一晩過ごした次の日。
リョウは此れ迄見た事も無い様な気持良さそうな表情をして眠っていた。
何時も早起きして朝食の準備をするのがリョウの日課だが
外出と外泊ですっかりはしゃいでしまっているようだ。
目の前で気持ちよさそうに寝息を立てる少女を見て
バクラは自分の中に渦巻く得体の知れない感覚に意識を投じていた。
突然自分の前に現れ、一緒に暮らすことになった少女。
自分の暮らす環境だけでなく自分迄も変えてしまった白銀の少女。
復讐を放棄してでも優先したいと思う少女・・・。
其処迄考えて頭を振る。
自分の存在意義とは復讐である。
其れなのに最近知り合った少女の為に
存在意義すら放棄する等どうかしている。

昼を過ぎた頃、リョウの頬を軽く叩く。
「おい起きろ!」
反応はない。
出来る事ならもう少しこうしていたいのだが
あまり長い間家を留守にしていたくない。
何より、予定では昼には街を出る事になっているのだから。
バクラはリョウの体を揺すったり名前を呼んだりと色々試したが
リョウは僅かに呻くだけで目を覚まさない。
考えた末にバクラはリョウの顎を掴んでリョウの桃色の唇に
自分の其れを重ねる。
柔らかい感触・・・そう感じた時、リョウの肩がビクリと震えた。
唇を離してリョウを見ると目を見開いた状態で顔を真っ赤に染めて
体を震えさせている。
「バ、バク・・・バ、バ・・・バッバ・・・」
「よぉ、起きたか?」
言葉すらまともに紡ぐ事が出来ないのか口をぱくぱくしている。
そして次の瞬間、勢い良くバクラの頬をぶってきた。
「いってぇ・・・・。」
「行き成り何するの!?こんな朝っぱらから!!」
「もう昼だ。つうか、お前が起きなかったからこうしたんだろうがよ。」
「そ、そんな事で!?」
リョウはまだ赤く染まった顔をぶんぶんと振っている。
バクラはリョウを抱き上げると宿の食堂に向かった。




昼食を済ませて街を出てもリョウは無言の儘俯いていた。
バクラは最初こそからかう様にリョウに言葉を投げかけていたが
リョウのあまりの無反応っぷりにもう何も言わなくなった。
自分でも何故リョウにあんな事をしたのかは解らない。
只そうしたいと思ったからそうしたのだ。
リョウが起きなかったからしたと言うのは口実に過ぎない。
俯いた儘無言で歩き続けるリョウを見て心にじわりと苦いものが広がった気がした。
バクラはリョウの肩を掴むと強引に自分の方へ引き寄せ
自分を見る様向き合わせた。
リョウの体がビクリと跳ねる。
最初にリョウに怯えられた時の事を思い出してバクラの眉間に皴が寄る。
「リョウ・・・・」
低く、抑え気味に言う。
「・・・あんな事して悪かった。もうしねぇからそんな顔するなよ。」
バクラなりの謝罪だった。
伏せられた視線がバクラを捉える。
「・・・ううん、僕もバクラ君の事ぶって御免ね・・・
吃驚しちゃって、つい・・・。」
リョウの言葉を訊いてバクラはリョウを強く抱き締める。
無意識にリョウもバクラの背に腕をまわし、抱き返していた。
「バクラ君、街に連れて行ってくれて有難う・・・凄く、楽しかった!」
「俺も楽しかった・・・またお前を街に連れていく・・・何処へだってな。」
「ふふ・・・有難う。約束だからね?」
「ああ、約束だ。」
先刻迄の殺伐とした空気はあとかたも無く消え去り
2人は互いの温度を確かめ合っていた。





クル・エルナ村に戻るとバクラは村の様子がおかしい事に気付く。
村に居る筈の死霊は姿も見えないどころか気配すらない。
代わりに、生きているものの気配を感じる。
バクラの様子がおかしい事に気付いてかリョウも不安そうに表情を曇らせる。
「バクラ君?」
「・・・リョウ、少し此処で待っててくれねぇか?」
「え、其れは良いけど・・・何で?」
「何と無くだ。なぁに、直ぐに戻ってくる。」
そう言い残してバクラは走り出す。
村のそこかしこを念入りに見回るが特におかしなところも無い。
気の所為だろうかと思った時、聞き慣れた声の、
耳をつんざくような悲鳴が聞こえた。
バクラは急いで悲鳴が聞こえた方向へ向かって走り出す。
其の時、村の家々から焦げ臭いにおいがする事に気付く。
だが今はそれよりもリョウの事が気になった。
バクラは走るスピードを速める。
「リョウ・・・リョウ!!」
自分でも信じられない程弱気な声が漏れていた。
 
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リョウは非常に機嫌が良かった。
一昨日のバクラとの街に行く約束もそうだが、
昨晩バクラが今日の為にと街に行った際に
外出用の服を買ってきてくれたのだ。
今迄は家に籠って家事だけをこなす毎日だった為
外出用の御洒落な服などは当然持っていなかった。
其れを察してか昨日仕事から帰ってきたバクラが
リョウにシンプルながら清潔感あふれる服を買ってきて
プレゼントしてくれたのだ。
デザインはシンプルだが飾り過ぎず、地味すぎない
此の服がリョウの好みだった事もあって
プレゼントと言う事も踏まえて嬉しかった。
そしてその嬉しさから今日は早めに起きて
バクラから貰った服を着てみた。
サイズもピッタリで着心地も良く動き易かった。
新しい服を貰えた嬉しさからか朝食をいつもよりも奮発して見た。
バクラが起きて食卓に来ると何時もの倍くらい豪華な朝食に
思わず目を見開いた。
「おはよ、バクラ君!」
元気よく朝の挨拶をするリョウ。
「おう、はよ。」
挨拶を終えて食卓の料理を平らげる。
「えらく張り切ってんじゃねぇか。そんなに今日を楽しみにしてたのか?」
「そりゃ勿論だよ!其れから、此の服・・・」
「ん?お、昨日の奴か!結構似合ってるじゃねぇの!」
「えへへ・・・有難う!」
そんな事を話しながら朝食を済ませ、出掛ける準備を済ませる。
「準備終わったか?」
「うん、バッチリだよ!」
そう言葉を交わして家を出る。





2時間程歩くとバクラが毎日の様に訪れる街に辿り着いた。
想像以上に歩かれた所為かリョウは汗をだらだらとかいて
肩で息をしている。
「此れ位でもう疲れちまったのかよ?」
「だ、だって・・・今迄家から出ずに居たんだよ?
こんなに歩くなんて思って無かったから・・・」
「まさかとは思うが、お前と初めて会った時
あんな所で倒れてたのは体力が無かったのが原因か?」
「うっ・・・だって、僕外に出る事自体そんなに無かったから・・・」
リョウの言葉にバクラが眉をひそめる。
「リョウ、お前記憶が戻ったのか?」
「ううん。僕の記憶が無いのは何時から独りで
何処から来ているんだろうって事だけだから
此処での本の一時の生活についてはちゃんと覚えてるんだ。」
「そうか・・・また少しずつ思い出せれば良いな」
「そうだね、有難う。」
沈みかけたバクラの表情を見てリョウがバクラの手を握る。
「もう、バクラ君ってば僕の事深刻に考え過ぎだよ!
折角街に来たんだから今日は楽しもうよ!」
「ああ、そうだな。」
バクラの表情が幾分か晴れた事に安堵すると
リョウは疲れ気味だった体に一喝して歩き出す。

街を一通り見て回るとリョウとバクラの腹の虫が昼食を要求する。
2人共御互いの顔を見ながら苦笑する。
バクラが街に来ると高確率で来る店で昼食をとると再び街を歩き回る。
街というものを初めて見たリョウにとって
今自分が居るその場所に有る物全てが新鮮だった。
バクラと手を繋ぎ歩く街は輝いて見えた。
誰かとこうして手を繋いで外出するのは、
恐らく今日が初めての事だろう。
色んな店に連れて行かれ、色々なものを見せて貰った。
そこそこ日が傾き始めた頃、リョウがバクラの服の袖を抓む。
「ねぇ、バクラ君。そろそろ帰らない?
日も傾いてるし、夕飯の準備してないからそろそろ帰らないと
夕飯遅くなっちゃうよ。」
バクラは少しだけ視線をリョウから外して言う。
「あんま楽しくなかったか?」
何処か不満そうなバクラの問いに目を丸くする。
「え?そんな事無いよ!凄く楽しくて、
出来る事ならもっと街に居たいって思ってるし。」
リョウの大きな瞳にバクラは視線を合わせる。
「なら、良いんだ。」
「バクラ君?」
「今日は街の宿に泊まるぞ。」
「え、えぇ!?でも家は・・・。」
「今日は良い。明日の昼迄は此処で遊ぼうぜ?
何時も家に居たんじゃ息詰まるだろ?」
リョウが困った様な顔で少し考え込む。
そして困った様な、照れたような笑顔でバクラを見る。
「じゃあ、バクラ君の言葉に甘えようかな?」
リョウの言葉を訊いてバクラは満足げに笑う。
「んじゃあ、泊まる宿を探すか!」
嬉々としてリョウの手を引き歩き出すバクラを見て
リョウは穏やかな気持ちになるのを感じた。
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HN:
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年齢:
26
HP:
性別:
女性
誕生日:
1992/06/25
職業:
社会人
趣味:
御絵描き・読書
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